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佐藤 彩子 執筆記事
 
 
 
仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウー
マンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行き
ます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業
務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話
していくコーナーです。

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第4回 『恋愛マーケティング論』

 社会人の出会いの場の代表と言えば、いわゆる「合コン」(合同コンパ)で
すよね。私の周囲でも合コンで彼を見付け、ゴールインしたという話はよく聞
きます。また、最近は、「セレブパーティー」と称して、男性参加者を医者・
弁護士・起業家等のエグゼクティブな人たちに限定したパーティーも盛んに行
われているのもよく耳にします。

 「合コン」は、相手メンバーが、相手幹事の会社つながりなのか、大学つな
がりなのか、趣味つながりなのかで参加する人たちの仕事や出身大学、おおよ
その年齢等の大まかな情報は幹事経由で事前に入手できます。でも、それぞれ
の外見や人柄は、当日行ってみないとわからないというデメリットもあります。
事前に「カッコイイ奴、連れて行くから」なんて言われていても、カッコイイ
人なんて来た試しがないのがお決まりですし、会ってみると嫌な人ばかりだっ
たなんていう経験もよくあります。

 「セレブパーティー」は、形を変えた「合コン」といえるかもしれません。
共通の友人の代わりにプロがセットアップしてくれるので、こちらの希望や向
こうの人柄など事前情報が十分に伝わらない代わりに友人の範囲では会えない
人たちとの出会いがあります。また、結局は会って話してみないとわからない
のは「合コン」と同じです。

 「合コン」や「セレブパーティー」が普及する以前の恋愛事情はどんな感じ
だったのでしょうか。

 おそらくその昔は世話焼きのおばちゃんが自分にぴったりの人を選んでくれ
る「お見合い型」が主流だったのだと思います。自分のことも相手のこともお
互いの家庭のこともよく分かったおばちゃんが推薦してくれるのですから安心
です。

 でもやがて女性の社会進出が進むと、「おばちゃんの知り合いの範囲でぴっ
たりの一人を選んでもらってもそれは本当じゃない。本当のぴったりの一人は
もっと広い世界にいる。」と女性が考えるようになり、恋愛結婚の時代になり
ました。とはいっても、女性が自分で相手を見付けるなんていうのははしたな
いことなので、向こうから声を掛けてもらわないといけません。きれいにして
ちゃんと花嫁修業に励んでいたら、学校や職場で、場合によっては街中や旅先
で、誰かが見初めて声を掛けてくれるはずなのでその中から選ぼう、という
「白馬に乗った王子様型」の恋愛に女性が憧れた時代が来たのだろうと思いま
す。

 では、「合コン型」の次に来る恋愛のパターンは何でしょうか。
 かなり前から「結婚相談所」があちこちにできていますが、今後一層流行り
そうな予感がします。女性の社会進出が著しく、また、起業して男性に負けず
劣らず社会で活躍している女性も多い昨今、女性のライフスタイルも変化し、
恋愛にも短絡的になる傾向があるのでしょう。最近、私の周囲では「結婚相談
所」で相手を見付けて結婚し、幸せになっている友人が増えています。

 「結婚相談所」の出会いは、こちらの希望をきちんと伝え、それに見合った
スペックを持った人の中からモチベーションが沸いてくる人、実現性の高そう
な人に絞り込んで実際に会うという形で、あとはフィーリングのみ。そんなピ
ンポイントで個人と個人が出会う場が、忙しい男女の出会いの場として活用さ
れているのは間違いないようです。もちろん、会う前に写真で外見もバッチリ
わかるそうですし、好みのタイプや抱いている将来の家庭像などはもちろんの
こと、お互いの年収まで知ることができ、この人と結婚したらどの程度の生活
レベルが送れるのか、なんていうことまで想定できてしまうそうで、ものすご
くシステマチックですよね。

 こうして眺めてみると、恋愛にもマーケティングの理屈や歴史のようなもの
を感じてしまいます。

 一番初めに生まれた「お見合い型」というのは、女性にとっての社会が小さ
かった時代に生まれた究極の「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」ですよね。

 女性の社会進出が進むと、「白馬の王子様型」が主流になりました。これは、
"顔の見えない"不特定多数の顧客に対して「自分」という商品をアピールし、
そこから自分を選んでもらうという意味で「マス・マーケティング」といえそ
うです。

 さらに「合コン型」になると、「ターゲット・マーケティング」に変わった
といえるんじゃないかと思います。市場を細分化し、標的市場を設定して、ポ
ジショニングを明確にした辺り。

 「合コン」や「セレブパーティー」では、個人個人の好みや条件とぴったり
マッチした人と出会えるかどうかまでは事前に分からないので、「自分」をア
ピールしても訴求効果がないケースもあります。それに、競合商品(他の女性
たち)も同時に展示されているので、「自分」をアピールしたところで、「自
分」を選んでもらえるとは限りません。でも、最初から、恋愛の対象をある特
定層に絞っているので、「白馬の王子様型」に比べたら成約率も高くなります
し、顧客満足度も高いと思います。そういう意味では「ターゲット・マーケテ
ィング」と言ってもいいのではないでしょうか。

 そして、今後普及しそうな「結婚相談所型」は、「お見合い型」への回帰の
ように思えます。つまり、現代版の「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」で
す。

 「自分にぴったりの一人を見付ける」という意味では、昔の「お見合い型」
は一番効率的で確実なマーケティング手法だったのではないかと思います。で
も、女性の行動範囲や価値観が広がるに連れて、身近な範囲で「ぴったりの一
人」を見付けるだけでは女性が満足しなくなってしまいましたし、かといって
日本全国の男性を対象にしたお見合いを実施しようとしたら、膨大なコストと
時間を要してしまい、非現実的なものでした。

 それが、IT の進化によってコストを抑えることができるようになり、また、
情報収集のスピードが飛躍的に短縮して数値で正確に情報を把握することが可
能になったために、非現実的だったことが現実的になったのだと思います。

 それに恋愛の「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」は、思わぬ効果をもた
らす可能性があるように思います。価値観ぴったりの二人は、プレゼントをし
たり、どこかに旅行に行ったりするときでも、相手の気持ちをぴったり押さえ
たおもてなしができるので、恋愛の生涯価値(Life Time Value)が高まる可能
性があるからです。

 そういえば、これは、ビジネスの世界でも「ワン・トゥ・ワン・マーケティ
ング」の究極的な目的でしたよね。不特定多数の人に一個のものを買ってもら
うよりも、特定のお客様に喜んでもらって何度も買ってもらう方が実はコスト
も安いし、ビジネスも安定するということで。

 恋愛の話をしているつもりでしたが、ビジネスの世界でも何か通じるものが
あるように思います。マーケティング戦略に行き詰まりを感じている方がいら
っしゃったら、私の恋愛マーケティング理論を思い出してみてください。少し
はお役に立つかもしれません。

                             <佐藤 彩子>








 
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